遺言とは

遺言とは遺言とは、相続をさせる人(被相続人)が、相続をする人(相続人)に対して、亡くなった後の自分の財産や法律関係(相続分の指定、遺産分割方法や認知等)について、生前に書き記しておく文書であり、その方式は民法に定められています。つまり、この定められた方式に沿って作成された遺言だけが、法律的な効力を持つことになるのです。

1.遺言の必要性

現在、遺産相続に備えて生前に遺言を用意する方は、非常にわずかです。(公正証書遺言だけで年間死亡者の約7%の方しか作成されていません。)

遺言という言葉自体は一般的になってはいますが、その内容や意義について、十分に理解されている方は少ないのではないでしょうか。

また『遺言』という言葉のイメージから「自分が死ぬことを前提としたものなんて縁起が悪い」とか、「まだまだ自分は元気なのだから必要ない」とお考えになる方、あるいは相続という問題について、「自分たちにはたいした財産がないので、モメごとなんて起きない」と自分には関係ないと思う方が多いのが現実ではないでしょうか?

(1)法定相続の問題点
もし、被相続人による遺言がない場合、法律で定められた分配方法に基づき、相続人同士の協議によって財産の分割を具体的に決定していきます。これを法定相続といいます。

相続人どうしの間で遺産分割をめぐり争いが起こってしまった、という話を耳にされたことがある方は多いと思います。相続がきっかけとなって、文字通り「兄弟は他人の始まり」になるケースは少なくありません。特に親族間における遺産をめぐる紛争というのは、どうしても感情論になりやすく、話し合いによる解決が難しいばかりでなく、裁判になったりするなど、長期にわたるトラブルとなることが多いのです。これらの紛争の大部分は、遺言書がなく、被相続人の最終意思がはっきりしていなかったために起きています。

(2)遺言書(指定相続)は法定相続に優先する
遺言書による相続を指定相続といい、これは法律上先に述べた法定相続に優先します。遺言書を作成しておけば被相続人が亡くなった後に、それぞれの財産をどの相続人にどのように分配するかをあらかじめ指示しておくことができ、後々のトラブルを防ぐ有効な手段になるのです。

残された遺族も、その遺言が被相続人の意思だと思えば、よほど不公平な内容でない限り、たいがいの場合納得するものですし、法的に見ても遺留分が侵害されるなどの問題がない限り、争うことができません。遺言書で明確な意志表示をし、紛争のタネを取り除いておくことは、あなたの家族への最後の愛情、思いやりと言えます。

遺言作成のメリット
(1)相続財産をめぐる相続人間の紛争を回避できる。
(2)遺言者の意思に基づいた財産の分配ができる。
(3)遺言者の希望を、相続人やその周囲の人に明確に託すことができる。
(4)相続人が相続財産を捜索する時間、労力の浪費を防ぐことができる。
(5)遺言者に安心した生活、(もし病気になっても)平穏な療養環境をもたらす。

2.こんなケースでは、ぜひ遺言を

いざ遺産相続が発生したときに「遺言さえあれば」といったケースは多々あります。遺言を残すことで相続問題を回避する典型的なものを以下に10例示します。

(1)個人事業主の事業承継の場合
個人で事業をしている場合、その営業上の財産は法律上も個人の財産なので、死亡すると相続の対象になります。それらが法定相続されてしまうと、より細分化することにより事業継続が不可能な事態になるおそれがあります。そのような事態に備えて、後継者を決め、その者に事業上の財産を相続させる旨の遺言が必要になります。

(2)住んでいる家と土地しか財産がない場合
住んでいる家と土地しか財産を持っていない人が亡くなり、その財産を妻と子供などで相続する場合、法定相続になると、家と土地が売却され妻が住み慣れた土地を離れざるを得ないような心配がでてきます。この場合、遺言により配偶者に家と土地を与えることで、その後の生活の安定を図ることができます。

(3)特に援助したい子供がいる場合
病気や障害などのあるお子さんがいらっしゃる場合は、相続分を他のお子さんより増やす遺言することによって、そのお子さんの将来の生活を支援することができます。

(4)子供がいないので、遺産は兄弟に分けず、すべて妻に残したい場合
遺言書なしで亡くなった場合、最ももめるケースです。配偶者に全財産を与えるという遺言を残すようにします。そうしないと、親や兄弟姉妹が相続人として加わってくることになり、特に亡夫に兄弟がいると、4分の1はその兄弟が相続することになります。しかし「全財産を妻に与える」という遺言さえあれば、兄弟姉妹は遺留分がありませんから、すべての財産は妻のものとなります。

(5)内縁関係の場合
内縁関係の場合はどんなに長く一緒に暮らしていても法定相続人になることはできず、相続権はありませんので、相続させるには遺言が必要になります。この二人に子供(非嫡出子)がいる場合、認知されていれば相続権はありますが、他に前婚(法律上の手続き済)による子供(嫡出子)がいる場合、非嫡出子は法定相続分が嫡出子の半分しかありません。したがって子供全員に平等に相続させるためには遺言が必要になります。

(6)未認知の子供がいる場合
愛人などとの間に子供がいて、生前にどうしても認知できない事情がある場合は、遺言によって認知することができます。

(7)息子の嫁に財産を残したい場合
息子が先になくなった以後もその妻(嫁)にずっと世話になっている。実の兄弟や姉妹はあまり面倒をみてくれないという場合、親が死亡しても、この嫁は一銭の財産も受け取れません。息子の嫁には相続権がありませんので、亡くなった息子の嫁に財産を残したい場合は、遺言を書くことによって財産を残してあげることができます。

(8)世話になった人に財産を残したい場合
相続人がいない、又はいてもあまり付き合いがない場合、身内のようにお世話をしてくれる人や、看護してくれた人に、財産を分けてあげたい場合も遺言が役に立ちます。遺言さえあれば、法定相続人でない者にも財産を与えることができます。

(9)財産を渡したくない素行の悪い相続人がいる場合
相続人であっても、常日頃素行が悪かったり、経済的負担ばかりかけ、不親切で親の面倒を見ようともしなかったり、ほとんど疎遠な状態になっている相続人がいる場合。あまり財産を残したくないと思うでしょう。遺言で、その者の相続分を少なくすることも可能です。

(10)相続人同士が不仲の場合
普段は仲のよい兄弟姉妹でも、相続が始まると「争族」となってしまうことがありますので、相続人同士が普段から不仲であれば、なおさら遺言で争いを防ぐようにしましょう。特に不動産がある場合は、「公正証書遺言」にしておいた方が、あらためて「遺産分割協議書」を作成しなくてもいいので、スムーズに相続登記ができます。

しかしながら、前述したように、遺言には、一定の方式がありますし、正確にかつ希望通りにその意思を伝えるためには、一定の法律知識も必要となりますので、遺言の作成にあたっては、行政書士に相談することをお勧めします。

遺言についてのよくある誤解

(1) 遺言は相続人の事前の了解は一切不要、遺言者の自由な意思で作成が可能です。
(2) 預貯金等金融資産を遺言書に記載しても、その後自由に引出や処分ができます。
(3) 親名義の家に住んでいる子供でも、その家を無条件で相続することはできません。

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